2022年8月上旬に東京湾奥・三番瀬海域に青潮発生
どういう訳か、8月に入って急に涼しくなったので、子供を釣れて稲毛の検見川浜東突堤へ。
ところが現地について愕然。ここは沖縄かと思うようなエメラルとグリーンの海面、立ち込める硫黄の匂い。そう、青潮が発生していました。
青潮の原因と仕組み
青潮とは、海面が乳青色または乳白色に変化した現象のことをいいます。
青潮は以下のようなプロセスで起きます。
- 家庭や工場から排出される有機物や、海で発生した大量のプランクトンの死骸が海の底に沈む
- その際、バクテリアが有機物を 分解するために大量の酸素を消費
- その結果、海の表面から酸素が供給されないと、海の底に酸素の薄い層がでる(貧酸素水塊)
- 気温の低下に加え、強い風が吹くと、この層が押し上げられる
- バクテリアによって出来る硫化水素を含んだ酸素の薄い水と大気中の酸素が反応し、硫化硫黄が発生
- この硫黄が太陽の光を反射して海面が乳青色または乳白色に見える
気温低下と強い風についてですが、夏季は高温の上層水と,低温の下層水が混ざらずに 成層状態にあリます。しかし、気温の低下により表層の水が冷やされると、上下層の海水の密度差が小さくなります。東京湾奥の青潮については、これに北東の風が続けて吹いて上層の海水が沖に流されることに より,下層の海の底に酸素の薄い貧酸素水塊が湧昇することで青潮発生が発生します。
青潮のもたらす被害
青潮が発生すると、魚介類は酸欠になり生きていくことができません。特に、泳いで逃げることができない貝類が壊滅的なダメージを負います。以下は、公表されている2000年以降の青潮による東京湾奥の被害です。毎回、4000-5000トンものアサリが死滅しています。もちろん、これは氷山の一角です。
- 2008年 8月下旬,アサリ死亡量: 5500トン(推定死亡率 59%)
- 2010年 9月下旬,アサリ死亡量: 4750トン(推定死亡率 88%)
- 2012年 9月下旬,アサリ,ホンビノスガイ死亡(数量不明)
- 2014年 9月上旬,アサリ死亡量: 4180トン(推定死亡率 61%)
青潮の発生傾向
千葉県水産総合研究センターの研究によると、1951年以降の青潮の発生件数は以下のようになっています。1970年台の高度経済成長期から発生が増得ていることがわかります。
また、発生する月についても、気温が下がり始める9月に最も多いことがわかります。
東京湾の青潮発生状況をリアルタイムで確認する方法
東京湾に釣りに行く前に、青潮発生状況を確認できたら便利だと思います。実は、千葉県は底層の貧酸素水塊について、現在の分布状況を推定し、その画像を発信しています。この数値は6時間おきに更新されているとても便利なものです。
以下が6時間おきの更新情報です。濃い青が青潮もしくは赤潮ということになります。また、溶解酸素は適切な範囲に収まっていることが重要です。多すぎると逆に生物は呼吸困難になってしまいます。
また、過去10日の発生の推移もわかります。8月5日、動画撮影時には、三番瀬海域が真っ青で、青潮が大規模に発生していることが分かります。
貧酸素水塊分布予測システムは以下からアクセスできます。