トリックサビキ釣りの魅力と概要
トリックサビキ釣りは、ファミリー層からベテランまで幅広い釣り人に愛される、非常に実績の高い釣法です。その名の通り、小さな疑似餌が連なった「サビキ仕掛け」の針に、さらにアミエビなどの本物の餌を直接付けて使用することで、魚を騙して(トリック)食いつかせるのが最大の特徴です。
通常のサビキ仕掛けよりも、餌の持つ匂いと食い気の良さを加えることで、特に魚の食いが渋い時や、確実に釣果を上げたい時に抜群の集魚力と効果を発揮します。主に防波堤や漁港など足場の良い場所で手軽に楽しめ、初心者でも比較的簡単に多くの魚を釣ることができるため、入門にも最適な釣り方の一つです。
トリックサビキの最適なシーズン
トリックサビキ釣りは、狙う対象魚が群れで沿岸に接岸する時期が最も適しています。具体的には、水温が上昇し魚の活性が高まる初夏から秋(5月頃から11月頃)にかけてがベストシーズンです。この時期はアジやイワシなどの回遊魚が沿岸に多く集まるため、非常に高い釣果が期待できます。
地域や魚種によって多少の変動はありますが、この期間中は日中でも楽しむことが可能です。また、魚の活性が特に高まる早朝や夕方のマヅメ時、そして潮の動きが活発になる時間帯を狙うと、大漁のチャンスが大きく広がります。
トリックサビキで狙える魚たち
トリックサビキ釣りのターゲットは、群れで行動する小魚を中心に多岐にわたります。代表的なターゲットは、堤防の定番であるアジ(豆アジから中型)やイワシ(マイワシ、カタクチイワシなど)、そして力強い引きが楽しめるサバです。これらの魚は群れに当たると入れ食い状態になることも珍しくありません。
その他にも、コノシロやメジナ、また仕掛けを海底付近で探ればメバルやカサゴといった根魚も食いついてくることがあります。仕掛けの針のサイズを変えることで、釣りたい魚の大きさや種類に合わせて柔軟に対応できるのも魅力です。
カタクチイワシ
サッパ
豆アジ
フグ
カマス
ウリボウ(イサキの幼魚)[/caption]
サバ
トリックサビキに最適な竿(ロッド)とリールの選び方
竿(ロッド)
トリックサビキ釣りは、専用の道具がなくても楽しめる汎用性の高い釣法です。一般的には、堤防からのウキ釣りやちょい投げ釣りにも使用される磯竿の3号から4号程度、長さは4.5メートルから5.4メートルのものが扱いやすいでしょう。足場の高い場所や遠投したい場合は長めの竿が有利ですが、手返しを重視するなら短めの竿もおすすめです。
リール
リールは、スピニングリールの2500番から3000番クラスがあれば十分対応できます。
トリックサビキの基本的な仕掛け
仕掛け
トリックサビキの仕掛けは、道糸の先に市販のトリックサビキ仕掛けを結びつけるのが基本構造です。この仕掛けは、通常のサビキ仕掛けとは異なり、針がシンプルな着色のみで疑似餌部分が少ないものが多く、直接餌を付けることを前提としています。
トリックサビキ用の仕掛けはいくつか種類がありますが、個人的におすすめなのは、マルフジのトリックセブンです。マルフジのトリック仕掛けは針が2本針になっており、コマセが非常によく引っかかります。
オモリ(シンカー)
仕掛けの一番下には、仕掛けを安定させて狙いのタナまで沈めるためのオモリ(シンカー)をセットします。カゴはアミエビの漏れが少ないプラスチック製の下カゴ式が一般的です。オモリは、潮の流れの速さや水深に合わせて適切な重さ(号数)を選び、仕掛け全体が狙いの層に留まるように調整します。
このオモリは通常のオモリでも良いのですが、トリックサビキ用のシンカーも販売されています。
餌つけ器
餌つけ器は絶対に必要です。これがないと、コマセを手返しよく付けることができません。
ロッドホルダー
トリックサビキは基本的に待ちの釣りとなるため、竿を水平に固定して当たりを待てるロッドホルダーが必要です。以下のロッドホルダーは、スピード餌つけ器を装着できるアジャスター付きでとても便利です。絶対に購入しておきたい一品です。

トリックサビキで使う餌(アミエビ)
トリックサビキで用いる餌は、冷凍されたアミエビが主流です。アミエビはコマセ(寄せ餌)としてカゴに詰めるだけでなく、針に直接付ける餌としても使用します。

トリックサビキの釣り方
この餌を針に付ける作業を効率的に行うために、専用の餌付け器(スピード餌付け器)を用いるのが一般的です。餌付け器にアミエビを入れ、仕掛けの針を一本ずつ押し付けるようにすると、手も汚れずに素早く餌を付けることができます。この本物の餌を付ける工程こそが「トリック」の所以であり、魚の食い気を高める決定的な要素です。

餌が付いたら、静かに仕掛けを下ろします。勢いよく落とすとコマセが針から取れてしまいます。

餌は針が隠れる程度の少量をつけることで、魚に違和感を与えずに食い込ませることができます。
トリックサビキ釣りでは、まず魚が潜んでいる水深、すなわちタナを探ることが釣果を分ける鍵となります。仕掛けを投入したら、まずシンカーを底まで落とし、落ちたことを確認できたら少しだけ巻いて弛みをとります。
そこでアタリがなければ少しずつタナを上げながら魚の反応を探りましょう。アジは低層、イワシやサバは中層から上層を回遊することが多いため、底から海面近くまで幅広く探る意識が大切です。
アタリを感じたら、慌てずに竿を立ててしっかりとアワセを入れ、魚の引きを楽しみながら一定のスピードで巻き上げます。
釣果を伸ばすためには、餌をこまめに付け替えることと、魚が釣れたタナを集中的に攻める手返しの良さが重要になります。







